PBRの落し穴 | 投資情報サイト シェアーズ

株式投資コラム

PBRの落し穴

初めて株式投資をした二人に話を聞きました。二人とも、割安な株へ中長期で投資をするスタイルだと言います。

  • 一人は、年間25%のリターンを得ました
  • もう一人は、年間50%のリターンを得ました

相場が良かったとはいえ、投資をはじめたばかりだということを考えると両者とも素晴らしい成績だと思います。しかし、成績には差がでました。この差はどこから来たのでしょうか?

リターン25%の人は、PERやPBR等の指標に基づいて投資をしていました。具体的には、「PER15倍以下、PBR1倍以下」の株を買っていました。PERやPBRは、銘柄の割安度を判断するとても便利な指標です。

しかし、これには落とし穴があります。

PBRは、簿価純資産と時価総額を比べて、資産の割安度をみる指標ですが、問題は、すべての純資産が、本当に簿価分の価値があるわけではない、ということです。中には価値が劣化している資産があります。その代表格は、棚卸資産、売上債権、有形固定資産、長期債権などですが、単純にこれらすべてを簿価と評価しては、適切な資産価値はわかりません。売上債権は、8掛、棚卸資産は、5掛くらいで評価するのが妥当といえます。

PBRを見るだけでなく、簿価資産を個別に“ザックリ”評価しなおすことができれば、より正確に資産価値を弾くことができ、高い投資リターンを得られるかもしれません。

また、PERは、利益と時価総額の対比ですが、こちらにも2つ問題があります。

ひとつは、PERで用いられる利益が、事業によって得られる営業利益だけでなく、特別利益や損失など一時的な収益・費用が加算された最終利益だということです。このため、PERが低いからといって安易に割安だと判断することはできません。PERを用いるときには、必ず、利益の“中身”を一つ一つ見てゆく必要があります。

もうひとつの問題は、現在(や来期)の利益だけを元に評価をすることにあります。事業の価値は、今期や来期の利益だけでなく、将来に渡ってその企業がどのように発展・衰退していくかを織り込まなければ、適切に評価できません。ですからPERを用いるときは、事業の利益成長率とセットで見る必要があるのです。

要するに、PERやPBRといった単一指標で、企業の“今”を輪切りにしてみたとしても、“将来”に渡って継続的に事業を行う企業の価値を割り出すことはできないのです。

先ほどの二人のうち、50%のリターンを達成した方は、PERやPBRだけでなく、EV/EBIT倍率や、簡易DCF法などの手法を使って企業価値を算定していました。真に価値ある企業を見つけるためには、一歩先行く、企業価値評価の“ものさし”が必要になっているのかもしれません。

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