泉州電業(2006年) | 投資情報サイト シェアーズ

株式投資コラム

泉州電業(2006年)

企業概要

泉州電業は“電線”を専門的に扱う商社です。電線の専門商社で上場している企業は当社のみです。さらに、競合の多くは、電線メーカーの子会社がほとんどですので、単独企業である泉州電業は、独自のポジションを確立しているといえます。

業績が伸びている

業績は増収増益基調で推移し、キレイな右肩上がりで成長しています。過去5年間の平均成長率は売上高が20.5%、営業利益が42.3%、純利益が48.9%と絶好調です。事業規模の拡大に努め、人員数、営業所数および規模を着々と拡大しています。

特筆すべきは、純利益率(純利益÷売上高)が改善している点です。 5年前にはたったの約1.8%でしたが、直近決算では約4.4%まで上昇しました。

これは、販売管理費比率が大きく低下したこと主要な要因です。バランスシートをみると商社ということもあり、売掛金と買掛金が大きいのが特徴です。ちなみに、買掛金は総資産額の約半分の大きさです。売掛金と買掛金は毎期膨らんでいますが、双方ともにバランスよく増加していますので、資金繰りを大きく圧迫するようなことはなさそうです。

理由は?

2006年決算期が好調で理由は、銅価格の高騰です。銅価格は、電線商社の短期的な利益構造に大きく関わっています。商品販売価格は、銅の市場価格に連動します。業界の慣習で、商品の販売価格が先に変更され、その後、商品の仕入れ価格が変更されます。つまり、時差が生じます。 

銅の値段が上がれば、以前に仕入れていた商品であれ、新しい価格設定で販売します。先に販売価格が変わり、仕入れ価格が後から価格修正されます。よって含み益が発生します。逆に、銅の価格が下がれば、販売価格が先に下がります。よって含み損がでます。

昨年から銅価格は高騰し、今現在は高値で推移しています。その原因として考えられるのは、投機筋の動き、及び、中国国内にある大きな需要です。3年前に比べ銅の価格は3倍に高騰しています。投機筋の動きは読み難い点はありますが、業界的には価格は徐々に下がってくるであろうと予想しているようです。

また、中国国内では積極的に銅を購入し、関連製品を製造しています。例えば、電線の生産量は、アメリカ・日本の両国での総生産量を超えています。もし、この傾向が今後も続くのであれば、銅の価格は継続的に押し上げる要因になります。

泉州電業が得意としているのは、マンションや家屋等の建設用の電線、工場機器用の電線などですが、民間企業の投資が積極化している流れをうけて、マーケットは好況のようです。特に工場機器のメーカーは、海外に向けて輸出を積極化しているとのことで、泉州電業はこの状況は継続するであろうと予想しています。

中長期的なにはどうか?

同社は、毎期、設備投資を行なっており、バランスシートを大きくしています。直近2期の投資額は約20億円で、そのほとんどが倉庫設備への投資です。土地を購入したり、倉庫施設の増設および老朽化した設備の建て直しに使われたようです。

設備投資の影響を受けてキャッシュフローは不安定です。商売は繁盛しているのですが、設備投資を行っているので手元に現金があまり残っていない状態です。昨年の11月に転換社債を発行して投資資金を20億円ほど調達し、その資金で設備投資を行いました。

IRに確認したところ、当面の大きな設備投資は一巡したとのことで、この先、大きな投資はしばらくしないだろうとの事でした。今後は投資資金の回収期に入るとのことで、安定したフリーキャッシュフローを出すことが期待されますが、この点については実は注視が必要です。

強みと弱み

泉州電業の強みは、大規模な倉庫を独自に保有し、複数の製品を持ち、分散された中小メーカーのニーズに対応できることです。顧客と直接関わっているので、ニーズを把握しやすく、売れ筋商品の仕入れを行うことができます。メーカーと共同で商品の開発も行っており、こちらの商品が好調であるようです(売上の約3割を占めるとのこと)。

また、販売先は細かく分散しています(一番の得意先でも売上高の1%前後)。相手が小さいため価格交渉力は強く、収益を確保しやすい構造を持っています。しかし一方で、販売先の分散は営業コストの拡大につながります。したがって、今後、同社のビジネスが発展してゆくためには、顧客との“摩擦係数を減らすことに注力すべきでしょう。そのような顧客対応システムの構築ができれば、中長期的にも収益性を担保できるでしょう。

資本政策

最後に、資本政策についても見てみましょう。

転換社債についてですが、転換価格は2,945円で、現在の株価  2,170円(10月26日現在)を上回っています。このまま株価が低迷したままだと株式への変換なされません。つまり、その時は調達した20億円を返済しなくてはなりません。ちなみに償還期限は4年後です。順調に株価が上昇すれば、転換社債は株式に転換されることになります。したがって、内部からの株価向上圧力があるでしょう。

また転換社債を選んだのは、株主数を増加させたいという意図があるようです。泉州電業は東証1部を目指しているようですが、東証1 部の上場基準である、株主数2200名を達成するため、数百人ほど株主を増やさなければなりません。これも株価を高めたいという動機につながります。

以上から今後IR活動を積極的に行っていくことが予想されます。また、東証1部に上場すれば、市場からの注目度もましますので、株価が適正な評価を受けるようになるかも知れません。

まとめ

さて、ここで考えたいのは、皆さんがどのようなスタイルで投資をしたいかです。

スタイルによって、注目すべきポイントは変わってきます。短期売買を繰り替えしてもよいし、長期投資を行ってもよいでしょう。ただし、それぞれの投資スタイルによって、注目すべき点が違うことを理解しましょう。

短期投資の場合、一番注目しなければならないのは世の中からの評価です。できれば注目されやすい業界の企業がよいでしょう。例えば中国オリンピック銘柄は、昨今注目され続けてきましたので、高い評価をうけています。

一方で、長期投資の場合、一番大切なものは、企業のビジネスモデルです。ビジネスモデルが強固な企業は、必ず、長期にわたって利益を出し続けます。そのような企業は、どんなに地味であっても、株価は適正に評価されるようになるでしょう。

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