以下は、ある地区の学習塾が発表している、高校の「東大合格ランキング」です。 さて、どの高校が一番優れているでしょうか?
合格者数
A高校 17人
B高校 8人
C高校 7人
D高校 1人
大抵の方は「1. A高校 17人」と答えます。
しかし、これは不正解です。
「不正解だと言われても、他校の東大合格者はA高校より少ないじゃないか!」と思われるかもしれませんね。確かにその通りです。
ですが、よく考えてみると合格者数だけでは、本当によい高校かどうかはわかりません。
それがわかるためには「各高校の総生徒数」が必要です。下記を見てください。
合格者数 総生徒数
A高校 17人 1000人
B高校 8人 300人
C高校 7人 300人
D高校 1人 180人
A高校は1000人の生徒数から17人の東大合格者を出していますが、 一番少ない合格者を輩出したD高校は180人の生徒しかいません。
もし、東大に合格するために高校選びを行うことになったら、「人数」だけでなく、「合格率」にも着目する必要があります。合格率を見てみましょう。
合格者数 総生徒数 合格率
A高校 17人 1000人 1.7%
B高校 8人 300人 2.7%
C高校 7人 300人 2.3%
D高校 1人 180人 0.6%
「合格率」という見方から分析すると、A高校よりB高校の方が良いということになりますし、D高校の方がA高校よりも東大に生徒を送り出す効率が良いのです。
投資においても、この「率」という考え方が重要になります。
よく、「売上ナンバーワン」を理由に業界1位と言う企業があったりしますが、これも「率」で考えると見方が変わってきます。
確かに、売上はナンバーワンなのかもしれません。しかし、コストがワーストワンだとしたら、結果は普通の企業です。
ですから、まずは損益計算書(P/L)の「利益率」に着目しましょう。
利益率をどのようにみていけばよいかというと
1億円の利益を出すのに、どのくらいの売上が必要だったのか?という考え方です。
もし、100億円なら1%の利益率ですし、10億円なら10%です。もちろん、後者の方が「儲かる会社」ですよね。
合格者数だけを書く高校の「合格率は?」という考えと同様に、売上高のみを誇示する企業の「効率性は?」という疑問を常に持つと良い投資先が見つかりやすくなります。
しかし、これで終わりではありません。なぜなら、投資における「効率」は利益率だけではないのです。しかも、こちらの「効率」の方が、良い投資先を見つけるためには重要になります。
それは、「ROIC(ロイック)」という名前で呼ばれる経営効率を表す指標です。アルファベットが4文字並ぶと恐々としてしまいますが、非常に大切な考え方なので、是非覚えてください。
ROICはReturn On Invested Capitalの略で、投下資本利益率などと日本語表記します。意味は、「事業に投下(投資)された資本が生み出す収益」です。
計算式で表すと下記のようになります。
ROIC = 利益 ÷ 投下資本
少し難しいですが、言い換えると非常に理にかなった考え方です。つまり、「いくら使って(=投下資本)、いくら儲けたか(利益)?」を表しているのです。
例えば、1年間に1億円稼ぐ企業XZY社とLMN社があるとします。
XYZ社は投下資本に100億円、LMN社は10億円を使ったとします。これだとLMN社の方が優秀だということになります。
最初のクイズと一緒ですよね。 1000人いた高校Aは、200人に満たない高校Dよりも合格率が悪いのと同じで、「少ない元手で、沢山儲ける」会社は優れています。このような会社に投資したいものですよね。
が、、、残念ながらここで終わりではないのです。
投下する資本(=いくら使って)は、「無料ではない」のです。