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株式投資コラム

新しい株式評価指標・営業利益倍率

PERの計算式は、PER =(時価総額)÷ 純利益 です。
(よく、PER = 株価 ÷ EPS[一株益]と表現されますが同じ事です)

それ、『株主』が受け取る利益(純利益)に対する、『株主』が出したお金(時価総額)の倍率(利回り)を意味しています。

私たちがPERをよく使うのは、私たちが株主だからです。だから、株主だけが受け取ることができる最終利益と、株主だけが出すお金である時価総額を比較するのです。

しかし、これは少し変です。

なぜなら、企業は利益を出すために、「株主からの出資だけでなく、銀行からの借金も使って事業を行う」からです。企業の本来の実力を見るには「株主だけでなく」、銀行も含めた、調達したすべてのお金に対する、すべての利益を比較する必要があります。

もともと株式投資は、会社の実力(=価値)に対して投資をしますが、本来の実力が反映されない投資指標(PERなど)を使用することが問題になるのです。確かにPERは便利な指標ですが、企業の本来の実力を見るには株主だけでなく、調達したすべてのお金に対する、すべての利益を比較する必要があります。

「なぜか日本人が知らなかった」新しい株式評価指標

株主と銀行の両投資家サイドから見ることが出来る便利な指標について説明します。

EV/EBIT(イーブイ・イービット)という指標です。

英語なのでちょっととっつきにくいのですが、大変、便利な割安度評価指標なので是非覚えておきましょう。ちなみに日本語名は「営業利益倍率」といいます。

EVはEnterprise Value(エンタープライズ バリュー)の略です。直訳すると「企業価値」となります。

EBITはEarnings Before Interest and Tax(アーニングス ビフォー インタレストアンド タックス)です。意味は「利息と税金の前の利益」、要するに「営業利益」のことです。(P/Lを上から見ると、利息や税金の前の項目は営業利益のため、英語ではこのような呼び方をします。)

倍率の詳しい計算方法は下記のとおりです。

EV/EBIT倍率の計算方法

EV/EBIT倍率 =(時価総額 + 借入 − 現預金) ÷ 営業利益

最初に述べたように、株主に関係する時価総額、銀行に関係する借入の値が入っているため、少し計算が面倒なのですがPERを見るよりは、安心度が全く違います。

ここでいう企業価値 [EV=時価総額+借入-現預金]とは、会社が事業を行なうために持っている“すべての資金”を表しています。銀行と株主が出したお金、つまり借金(=銀行)と時価総額(=株主)の合計から、会社が持っている現預金を引いたものです。

一方、営業利益(=EBIT)とは、本業が生み出す“すべての利益”のことです。

すると、営業利益倍率(EV/EBIT)の意味は、「事業で稼いだ“すべての利益”(営業利益)に対する“すべての資金”(時価総額+借金ー現金)の倍率」となります。

“すべての利益”と“すべての資金”を比較することで、資金の出し手が銀行であろうと株主であろうと、出したお金全体(EV)に対して、その成果である全体利益(営業利益)がどれくらい創出できたのかを見ることができ、企業の割安度がわかるということです。

ですから、このEV/EBITの数値が低いほど投資有望度が高いということになります(分母の営業利益が大きくなればなるほど良い会社=数値が小さくなるため)。ざっくり言って、5倍以下なら割安といえるでしょう(もちろん、営業利益の成長率などを併せて見ていく必要がありますが)。

この営業利益倍率を使えば、同じPERでも、莫大な借金を使って利益を創出している企業は、実際の収益性はそれほど高くないことなどがわかります。

実例を使って、その違いを見てみましょう。

JR東日本と吉本興業を比べてみよう

PERが同じぐらいの東日本旅客鉄道(PER=20.61倍)と吉本興業(19.31倍)を使用します(2007年6月25日現在)。

東日本旅客鉄道は、ご存じJR東日本です。一方、吉本興業は「お笑いメーカー」として有名な芸能プロダクションです。

実際にEV/EBIT倍率でこの両社を比べると、東日本旅客鉄道は約10.3倍に対し、吉本興業は7.25倍です。

PERでみると両者に違いはあまりないのですが、EV/EBIT倍率は全く異なっています。

東日本旅客鉄道は有利子負債による借入を使って膨大な固定資産を持っています。自己資本は約1.5兆円に対し、借入は約2兆円を超えています。一方、吉本興業はJR東日本の100分の1規模の資産規模です。若干固定資産が多いようですが、それは株主資本で建てており借金はほぼない状態です。

EV/EBITの値が違うのは、東日本旅客鉄道は自己資本比率が低く、借入をたくさん使って操業しているのに対し、吉本興業は借金が少ないためです。

M&A(企業の合併/買収)などの買収価格算定の際には、このEV/EBITやこのEBITの部分をキャッシュフローに近いEBITDA(イービッダーやイービットディーエーと読みます)にした、EV/EBITDAという指標が使われることが多いです(EBITDAは営業利益にDA(Depreciation and Amortization=減価償却費とのれんの償却費を足し込んだもの)。

シェアーズで簡易に投資判断をするときには、このEV/EBIT(営業利益倍率)を使っています。

理由は上記で述べたとおり、「企業が行っている事業の真の力」を知りたいから。大切なお金を、企業に運用してもらうわけですから、より企業の真の姿を知りたいと思うのは当然ですよね。

いかがでしたでしょうか?

ぜひ皆さんも、このEV/EBIT倍率をご利用になって、企業を分析してみてください。上でも言いましたが、PERとの違いを良く注意して見ると、より財務に対する理解が深まりますよ。

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