さて、市場といえば、相変わらず上下を繰り返していますが、特に新興市場は2年連続で厳しい状況が続いています。良い会社を、バーゲン価格で買う絶好のチャンスです。
でも、こんな時ほど注意が必要なのです。
皆さんは、デパートなどのバーゲンセール期間中、『割引されている』という理由だけで、必要のないものまで買ってしまった経験はありませんか? 買った時は、充実感があるのですが、後でふと我に返ると、なぜこんなもの買ってしまったのだろうと、悔しい思いをします。
バーゲンセールでは、普通では買えない値段で売られているので、つい「衝動買い」をしてしまう可能性があるのです。
株式投資で成功を目指すためには、「分析」と「購入」は、完全に切り離して考えるべきです。
分析とは、購入のはるか前からやっておくべき“宿題”です。
そして、何ヶ月も場合によっては何年も買うべきタイミングを待つのです。
たまたま株価が下がったからといって、何かを買ってみようとすると「安物買いの銭失い」になりかねません。しっかりと分析し、虎視眈々と、安くなるのを待つのが、健全な投資感覚です。
ところで、世の中には継続的に利益をあげる優秀な投資家が少数ですが、存在します。
彼らに共通することはいったい何だと思いますか? 実はとても単純なことです。彼らに共通するのは、「徹底的に企業のことを“理解”しようとする姿勢」です。
ただし、「徹底的に企業を知る」=「全てについて知る」ではありません。本質に迫るということです。
彼らの分析は、単なる財務諸表や指標の比較にとどまりません。PERやPBR、自己資本比率、ROAやROEは大切な指標ですが、それだけでは、会社の実態について本当に知ることはできません。様々な形態の企業を比べるとき、1つの指標だけを見ればよいという、万能なものはありません。
M&Aの仕事では、プロジェクトの最初の日に、徹底的に、「何を考えるべきか?」を“考える”作業を行います。「何が大切な論点か?」についてじっくりと考えるのです。
これを“Day1”といって、最も重要な作業の一つです。Day1をやらずに、あわてて情報収集に走ったりすると、プロジェクトは混迷してろくな結果になりません。常に、「思考量 > 情報量 」を心がけるのです。
株式投資をする際も、同様のアプローチが有効です。まず考えるべきことは、「何がわかれば投資できるのか?」なのです。
細かい事象についての情報を大量に集める必要はありません。企業の業績に影響を与える事象は様々であり、全てについて知ることは、ほとんど不可能といってよいでしょう。
そうではなく、重要な論点に的を絞るのです。企業の本質について調べ上げるのです。
ビジネスモデルや業界環境、財務状態、経営体制によって、見るべきポイントは異なります。
たとえば、武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)などが行っている医薬品事業は、開発費と仕込みの案件に注目します。たとえ過去の業績が右肩上がりであったとしても、次の商品開発がスムーズに行っていなければ、継続的に好業績を上げることは難しいでしょう。
石油ビジネスは、「原油価格」と「為替」の動向で収益が決まってきます。
バンダイビジュアル(4325)という、収益性の高い企業があります。この企業はバンダイの子会社なのですが、親会社への短期貸付金が40億円もあります。このような子会社の企業では、個人投資家への「株主還元」が論点になりそうです。
このように、ポイントを絞って分析を行うことで、効率的に、ライバルの個人投資家より、一歩深い分析が行えるようになるでしょう。
是非皆さんも、一歩深い分析をするために、少しだけ立ち止まって考えてみてください。