好きで共感できる企業の株を買うことには、合理的なメリットもあります。
株式投資のコストの多くは、手数料と税金が占めます。手数料は投資信託などを買えば高くなりますが、自分で好きな株を選べば、株式売買手数料以外の手数料はほとんどかかりません。また、好きな会社であれば、長期に株を持ち続けることになりますから、売買手数料や税金も結果として低くなります。
日本の投資家の90%は3カ月以内に株を売買するといわれていますが、これでは、いくら銘柄選びに成功してもリターンはおぼつきません。なぜならば、投資でもっとも大事なことは「コスト」を減らすことだからです。
共感できる会社の株を買うメリットはこれだけではありません。実は「感情のコスト」が低いことも大きなメリットです。
我々が投資で損失を生じるのは、実は「銘柄を見抜く力」ではなく、「銘柄に対する感情」が原因になっています。
私たちが投資で損失を生じるのは、実は「銘柄を見抜く力」ではありません。「銘柄に対する感情」が原因となります。
買った株の株価が低下すると私たちは不安になります。この不安が極限まで高まり、苦痛の限界を迎えると私たちは、株を売却します。そのため売却時点は買値よりも大幅に下がった時点となります。つまり私たちは、損失を限定する、という経済的使命よりも苦痛という感情から開放されるために株を売却します。
一方、買った株が買値よりも上がったとしても同じように感情のコストが利益を減らすことになります。それはなぜかというと、私たちは、買値よりも株価が上がれば、「買った」という快楽を得るが同時に、その勝利感を失いたくないという不安を持つからです。そのため、買値よりもわずかに高い水準の株価で株を売却して利益を確定する傾向が強いのです。これを繰り返していけば、おのずと「損は大きく、利益は小さく」となってしまいます。
これは「行動ファイナンス」という分野の基本概念です。株価だけを見ていくとこのような判断ミスを犯すのが私たち人間です。
このような感情のコストから逃れるには感情を軸に投資判断をしないことです。それが、一番良いのですが、さすがに難しいことです。従って、投資に“良い感情を伴わせること”が現実的な方法なのではないでしょうか。
好きで共感できる企業の株を長期に保有して、その会社の利益の配分を受けることを目的にして投資をすれば、日々の株価(=他人の評価)を気に病むことも少なくなります。そのため感情のコストがきわめて安く済むのです。
実際、過去の統計が物語っているように短期で売買を繰り返す男性よりも好きな株を決めて買い取引を頻繁に行わない女性のほうが長期のリターンが高くなる傾向があるようです。