有価証券報告書の見方 | 投資情報サイト シェアーズ

株式投資コラム

有価証券報告書の見方

なぜ、時間をかけて有報を読む必要があるのでしょうか? 単に、PERやPBRを見て、株を買わないのはなぜだろう? と考えてみます。

まず、私たちシェアーズでは、株式投資とは、企業の長期的価値創造に参画することだと考えています。したがって、株の売買をしつつも、できるだけ長期で物事を捉え、企業の価値の“源泉”を探りたいと思っているのです。そのためには、定量情報だけでなく、経営陣や企業の成り立ち、沿革、資本構成なども読み解く必要があります。

また、私は、株価の+−20%は、所詮、誤差にすぎないと考えます。投資とは、大きくステージを変えうる企業に行なうものであって、その目的は、株価5倍~10倍を目指すほうが効率的だし、面白いともいえます。その意味で、最低3年の保有を前提に、みっちりと有報を読み解く、という投資スタンスがあってもいいのではないでしょうか?

多くの個人投資家は、プロと違って情報がない、と嘆いています。でも本当でしょうか?私は、本当に必要な情報は、簡単に手に入るのです。それが、「有価証券報告書」です。

ウォーレン・バフェット氏も 3 期分の有価証券報告書を元に、数百億の投資を行う事もあるそうです。にもかかわらず、その価値が低く評価されているのは、読み解くのが難しいかではないでしょうか? または、「読んだとしても、すぐ株価が上がらないから」かもしれません。

しかし、これはもったいない話です。有価証券報告書は、企業が直接、提出する数少ない公式資料であり、信頼性の高い一次情報です。全ての上場企業が、共通のフォーマットに沿って有価証券報告書を作成しているため、どこに何が書いてあるかが明快です。そのため、慣れれば企業の実態を短時間で掴むことができるようになります。

では、有価証券報告書でどんなことがわかるのでしょうか? 有価証券報告書の財務情報は、これまでの経営の通信簿です。また、有価証券報告書の定性情報を読み解いていくと分かることがあります。それが何かというと、企業が将来どこに向かっているのかと、その「青写真」の実現化のための“布石”を本当に打っているか、の二つです。

それだけではありません。有価証券報告書から企業の「意思」が読み解けるのです! 慣れてくると、有価証券報告書を読むことで企業が何を考え、何をしようとしているのか、そのホンネを見抜くことができるようになります。

有価証券報告書を読む最大の目的は、企業の経営の「意思」を確認することです。私たち投資家が確認したいのは端的にいって、次の二つだけです。

  1. 将来、業績を上げるという信頼ができるか?
  2. 成果を、私たち株主に配分するという意志を確認できるか?

1. 将来、業績を上げるという信頼ができるか?

これは衝撃的なことですが企業には二種類あります。単に経営を持続させようと考えている企業と、事業を発展させようと考えている企業です。両者の違いを見抜くには、経営者が明確な理念と、具体的な数値目標を伴う事業ビジョンを持っているか、をみる必要があります。そのうえで、それらを実際に達成するための「布石」を打っているか、を見るのです。

単に経営を持続させようと考えている企業の有価証券報告書は、例えば、「日本経済は、恒常的な低迷期にあり・・・」というありきたりの文言ではじまります。一方で、業績を伸ばそうとしている企業は、数年後の業績目標やその業績を達成するための「計画案」について語ります。

それから、将来の目標に向かって着実に行動しなければ、業績を向上させる事はありえませんから、行動を実際に起こしているかどうか確認しましょう。例えば、P/L(損益計算書)を見るときは、単なる恒常的な支出と、戦略的な投資に分けて考えます。単に、利益をみてそのPERを弾いても役には立ちません。利益には、「質」があるのです。

恒常的な支出とは、原材料費や販売管理費など、事業を行うに際して必ず発生する支出のことです。戦略的投資とは、研究開発費や広告宣伝費など、今後の事業展開に大きく関わる投資のことです。また、適切な採用や、設備投資を行なっているのかという面も重要になります。これらも将来の業績にたいする「先行指標」になります。これらの先行指標を確認することで、企業が将来に対して着実に準備しているかどうかが分かるのです。。

2.成果を、私たち株主に配分するという意志を確認できるか?

こちらも重要な問題です。例えば、株が一部の大株主で占められている場合、大手の商社が流通過程にまるごと入って大きなマージンをとっている場合、役員が親会社からの出向している場合などは、利益がわれわれ個人投資家に還元されないかもしれません。せっかく投資するのであれば、株主を大切にしようとする企業のほうが、株式を保有していて安心できます。


いかがでしたでしょうか?このように、企業の内部事情まで立ち入った「分析」をすることは個人投資家であっても可能です。個人投資家とプロの投資家との違いは、情報量ではありません。情報から意味を見出す力の差だと思います。数字の裏側を読み解く力の差が結果の違いを生み出しているのです。

できるだけ有価証券報告書を読むようにしましょう。たくさん有価証券報告書を読んで読み慣れましょう。読めば読むほど、深い分析が行えるようになると思います。

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