何事も、儲けるための基本は、「安く買って高く売ること」です。
例えば、ある八百屋さんが、農家からトマトを100円で仕入れて120円で売っているとします。差分の20円が儲けです。八百屋さんは、このトマトが120円で売れる(可能性が十分にある)ことを知っています。だから、100円で仕入れることができるのです。
株式投資でも理屈は同じです。将来、ある株が20万円で売れることを知っていれば、今、その株を15万円で買っていいものかどうか、判断できます。
では、「その株の価値」はどうやったら分かるのでしょうか?
ここでは、M&Aで会社が会社を買うときに、いくらで買うかを決める(=その会社の価値がいくらかを計算する)ために用いる方法を紹介します。
まず、現在の企業の「値段」は、「時価総額」と呼ばれます。「トヨタの時価総額が15兆円」とあれば、トヨタに今ついている値段は15兆円だ、ということになります。
割安株投資では、この「値段」が高いのか安いのかを判断します。そのために、企業の本来の「価値」を計算する必要があります。
企業丸ごとの「価値」は、「事業の価値」+「財産の価値」-「借金」で計算できます。
「事業の価値」については、ピンと来ないかもしれません。
例えば、「毎年100万円分の金の卵を実らせる鶏の値段」を考えてみてください。その鶏が100万円なら、あなたは買いたいと思いますか? もちろんですよね。2年後も3年後も、鶏は100万円を産むのだから、100万円以上の価値があるはずです。
利子(利回り)が1%なら、毎年100万円が手に入る権利は、1億円(100万円÷1%)です。1億円を利子が毎年1%つく銀行に預けるのと同じです。同じように、利回りが3%なら、毎年100万円が手に入る権利は3,300万円(100万円÷3%)です。
さて、株主と債権者(銀行など、お金を貸している人たち)が、企業に期待する利回りは、日本ではだいたい6%です。
「銀行にお金を預けるのはリスクが少ないから、利回りは1%でいいけど、企業に預けるのは倒産したりというリスクがあるから、6%はもらわないとやっていけないよね」と皆が思っている、ということです。
利回りが6%なら、毎年100万円が手に入る権利は、約1,670万円(100万円÷6%)ということになります。この1,670万円が、「事業の価値」となります。上で紹介した鶏の卵に6%の利回りを期待すると、その鶏の値段は1,670万円です。
次に、「財産の価値」を説明します。
「財産の価値」とは、事業とは関係のない余剰財産のことを指します。事業運営のために使われる工場などは、「事業の価値」に含みますが、会社が保有する現金や有価証券、土地などのビジネスに関係ない資産を含みます。
上の例で、鶏は1,670万円と計算しましたが、もし、その鶏を買ったらなぜか300万円のダイヤモンドもついてきますよ、ということであれば、鶏の「価値」としてはダイヤモンド分も追加したものとなります。この場合の鶏の価値は、1,970万円ですね。
会社の株を買って、その会社の所有者になるということは、その会社の借金も一緒に背負うことになります。株主にとっての企業の価値を計算するには、「借金」を除かなければなりません。
実は、毎年100万円の卵を産むダイヤモンド付きの鶏には、実は200万円の借金がありました、ということであれば、鶏の価値は、1,970万円から200万円を引いた、1,770万円です。
最後に、鶏を買うか買わないかを決めるときにはどうすればいいでしょうか?
鶏の値段を見てみないといけませんね。鶏の価値は1,770万円だったので、それ以上だったら「割高」ということになりますし、それ以下だったら「割安」、お買い得!ということになります。
一番最初に書いたように、企業の値段は「時価総額」です。そこでこの計算によって求められた「企業価値」と「時価総額」を比べることで、「価値」と「価格(現在の値段)」を比較することが可能となります。
いかがでしょうか? 以上が、M&Aの際に企業の価値を計算する手法の一つ、「DCFバリュエーション」のとても簡単な説明です。
なお、投資家は意思決定をする際に、その企業の「現在の株価」が割高か割安かをみる必要があります。
「株価」は一株あたりの企業の価値なので、ここで求められた「企業価値」を発行済株式数で割った『理論株価』を「現在の株価」と比較することで、その株が割高が割安かの判断が可能となります。
これが割安株投資の基本です。
もうお気づきの通り、業績のいい企業が必ずしもいい投資先とは言えないのは、その企業の現在の株価が割高である可能性があるからです。
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※このグラフは、企業の財務情報をもとに、一定のアルゴリズムを用いて計算した結果です。利用者の皆様の投資判断の参考となる情報提供を目的としており、個別の銘柄について推奨するものではなく、金商法における投資助言業には該当しません。投資はご自身の判断で、慎重に行ってください。