私たちもよく紹介するウォーレン=バフェットは、素晴らしい投資家です。しかし、私たちのような個人投資家は、その投資手法のすべてを取り入れる必要はないと思います。
その理由は、彼が持てず、私たち個人投資家が持っている武器の一つ、“回転率”にあります。
いつの時代も、投資家の利益(年間)は、
(1)取引毎の利益率(%)と、(2)取引回数(回転率)
の“掛け算”で構成されています。
これは単純で、一年間に、高い利益(利益率)を、何回も得る(回転率)ということです。
(1)利益率が高いというのは、一回の取引毎の株価の上昇幅が大きいことを意味します。この利益率を上げるためには、できるだけ安く株式を購入することと、できるだけ高く株式を売ることの2つがポイントになります。(当たり前なのですが)要するに、安く買って高く売る、ということです。
そこで、まず、安く株式を購入することですが、これには、そもそも、安いかどうかがわかる必要があります。だからこそ、企業の価値を計算するスキル(バリュエーション)を私たちは学ぶ必要があるのです。
一般に、バリュー(価値指向)投資家とは、できるだけ安く株式を購入することを中心に考える投資家を指すようです。ウォーレン=バフェットは、代表的なバリュー投資家です。
一方で、できるだけ高く株式を売ることに着目する人々(プロモーター)もいます。例えば、株式流通上に、「需要」と「供給」のゆがみを作り出す”仕手”の方々です。
あるいは、「チャイナ」「再生銘柄」「BRICS」「近鉄買収」などの魅惑的ストーリーによって大衆人気を創出し、自社の株式を高く売る経営者やその裏にいる証券会社などもこれにあたります。
人は、常に感情に基づいて行動をしますから、ワクワクする楽しいストーリーがあれば、その価値を超えた価格がつけられるのは、当然です。価値を超えた価格が付くことに対して、バリュー投資家は、快く思わないかもしれませんが、バリュー投資家が、安く購入することに長けているのと同様に、彼らは、高く売ることに長けているというだけのことです。
ところで、忘れがちなのですが、私達は、(2)年間の”取引回数(回転率)についても、同様に考えるべきだと思います。デイトレーダーといわれる人達は、つまるところこの回転率に着目する人達です。「わずか1%の利益率でも、それが72回転すれば、100万円が200万円になる」というのが基本的な考え方です。手数料と税金を考えなければ、これも良い方法ではないでしょうか。いずれにせよ、「バリュー投資家」「プロモーター」「デイトレーダー」のどれもスタンスが違うために、求められるスキルが全く異なるだけのことです。
ウォーレン=バフェットは、一般にバリュー投資家と位置付けられていますが、バフェット型投資の基本は、驚くほどの長期保有にあります。
“株は売らないもの”というのがそのスタンスです。そうなると、回転率が低くなってしまいます。その代わり、異常に利益率にこだわるわけです。
投資家の利益率は、結局は、投資先企業の利益率(いわゆるROE)ですから、彼が、ROEの高い会社に執着するのはよくわかります。
彼が回転率に目を向けない理由は単純です。それは、彼の会社(バークシャー)の資産規模があまりにも大きいからです。あまりにも巨額の資産なので、売ったり買ったりして、回転させることができないのです。だからこそ、利益率が高い会社を丸ごと買収するのです。
あまり知られていないようですが、資産規模の小さいころの昔のバフェットは、売買を繰り返していました。そして初期のリターンは、年率で約50~70%もありました。今のバフェットは、もうこのような投資はできません。ですから、非常に信頼のおける経営者が事業を行う非常に利益率の高い会社のみに集中投資をするのです。
しかし、私たちの資産はそれほど大きくないため(失礼!)回転率も重要な要素となります。だから、短期で高く株価が上昇する“ストーリー”も投資の指針の中に入れてみてください。