企業の価値をしっかりと把握し、長期に付き合っていく投資で成功しているバリュー投資家はバフェットが世界的に有名です。
しかし、「何を価値と見るか?」の視点が異なると、実はバリュー投資にも4つの種類に分類することができます。
本日は、その4つのバリュー投資のスタイルをお話しします。
バリュー投資を、投資対象の価値の源泉と、投資のリスク管理の観点で4つに分けるとすると、資産と事業、それから集中投資と分散投資に分類できます。
縦軸に投資対象の「資産狙い」か「事業の業績上昇狙い」か、横軸にリスク管理を「分散投資」か「集中投資」かというように分けます。
この図の4つのパターンによって、企業のどこに価値があると考えて投資するかが異なります。順番に見ていきましょう。
一般的に、このカテゴリーに入る投資スタイルは、いわゆる「アクティビスト」と呼ばれる投資家が多い。
このような投資家は現金保有率の高い企業や、有価証券を大量に保有している企業に投資します。土地や固定資産のように売却する手間が少なく、現金や現金に近いものを集中的に狙うスタイルですね。
個人投資家の方がこのタイプの投資手法を参考にするためには、少しハードルが高いかもしれません。なぜなら、大量の投下資本が必要になるからです。
そして、アクティブに企業に働きかけ、バリューがリアライズするのを即すための交渉力が必要になり、片手間に出来る仕事ではなさそうです。
日本人で代表的なバリュー投資家といえば、「たまごボーロ」で有名な竹田製菓の社長・竹田和平氏です。
竹田氏の投資手法は、この資産狙いの分散投資のカテゴリーに入ります。先述のアクティビスト系ファンドと異なり、竹田氏は投資先に対してアクティブにならず、ゆったりと静観し、長期ホールドし続けます。
竹田氏の重視するポイントは、以下の4つです。
【 1 】PBRが低い株を選ぶ
【 2 】配当をきちんと払う株を選ぶ
【 3 】小型株を選ぶ
【 4 】分散する
まずPBRが低い株ですが、竹田氏はバランスシートの内訳を重視します。バランスシートは企業の現在の体調を表すと言えるのですが、彼は健康な企業で評価が低い企業を選びます。
彼は企業の還元性も重視し、配当を払う企業に注目します。つまり、スポンサーである株主に積極的に還元する姿勢を持った企業を好みます。還元(配当)は企業と投資家を結びつける手段だと考えているようです。
その代り、株価の上昇益(インカムゲイン)は気にしません。株価が上昇しようが、しまいがホールドし続け、企業をサポートし続ける姿勢を持ち続けます。
小型株であることについては、彼は企業の大株主となり、その企業経営者に彼独自の応援メッセージを伝える事を目標にしています。そのため、大株主になりやすく、コミュニケーションの取りやすい中小上場企業を選択します。
最後は、竹田氏のリスク管理法である分散投資です。竹田氏の投資先の企業群の事業内容には一貫性がありません。メーカー、学習塾、ソフトウェア会社と様々です。
事業内容にバラツキがある場合、投資収益にもバラツキが出ます。そのために、リスク分散をする必要があり、分散投資しているのです。
特に彼の場合タマゴボーロの工場経営経験から、事業の難しさを理解しているからかもしれません。
竹田氏の投資手法は、実は、バリュー投資の父と呼ばれる「ベン・グレアム」の手法ともいえます。彼もバランスシートを企業評価の第一資料として位置づけており、長期の収益性(損益計算書)は読めないと考えていたようです。
このグループの投資家には、とにかく根気が必要です。
もともと、評価が悪い(低PBR)企業ですから、倒産するリスクを抱えていることもあり、株券がただの紙切れになることも十分に考えられます。
そのため、とにかく数字を信じて、長期に我慢する投資になることが多くなります。
さて、資産狙いとは反対の、事業重視型のバリュー投資のタイプです。
このエリアに入る投資家といえば、最近日本でも一気に有名になってきていますが、ウォーレン・バフェットがその代表格といえるでしょう。彼は元々竹田氏と同じような投資を行っていましたが、事業の長期性にかける投資手法に変更したことで有名です。
バフェット氏は業績予測が長期で可能である企業を選びます。予測可能とは、単純な事業であり、20年後、30年後もその事業が無くなっていないことが条件になります。
例えば、最近P&Gに買収された男性カミソリを作っているジレットがその代表です。バフェットは「どんなに市場が荒れていても、世界中の男性のヒゲが伸びる事を考えると安心して眠れる」と言っています。30年後に男性のヒゲが無くなる可能性は非常に低く、その考え方には「なるほど」と頷かずにはいられません。
そして、予測可能な優良企業を集中的に買います。業績の予測が可能ですから、安心して長期で投資出来るため、分散した投資は必要がないのです。彼にとってのバリューとは企業の単純さと永続性だと言えるでしょう。
バフェットタイプの投資手法は、事業を見抜く目と、将来性の検証能力がカギとなります。
バフェットは、IT企業を全く買わないのですが、その理由は彼が「理解出来ないから」です。理解出来ないとは、その事業が30年以上存在するのかを軸に考えてのことです。
バフェットとは違い、業績にかけながらも分散するバリュー投資もあります。ここのグループに入る投資家の代表例としては、「ベンチャーキャピタル」です。
日本だとジャフコやドリームインキュベーションなどが有名です。
有望そうなベンチャー企業に資本を注入しますが、若い企業はいつだって倒産リスクを抱えています。そのために、分散投資を行います。多くの投資先の中から数社が大企業への道を歩んでくれると、倒産する企業が多くあっても収益が出るように計算するのです。
ベンチャー投資は、一番頭を使う必要のある手法かもしれません。個人投資家がベンチャー投資をする際はマザーズやヘラクレスなどの新興市場か、IPOになりますが、見るポイントは多岐に渡ります。
まず、企業のビジョンが大きくなければなりませんし、ビジョンだけでなく財務に長けている経営陣が揃っていることも条件になります。そして、実際に稼げる事業を行っていないと、あっという間に倒産してしまいます。そのため、財務諸表は細々と確認する必要があります。実は、実際に事業が3年間に渡り安定していて、社歴が10年以上の新興企業銘柄は、全体の20%にも満たないのです。
企業を評価して「割安だ」と判断する時は、その評価軸の異なりによって、ある人にとっては宝石のように見えても、ある人にとっては石ころにしか見えないことがあります。
しかし、上記の4パターンの手法はどの手法でも結果は残せると思います。
自分が事業を見るのが好きならバフェット的な投資を、経営者の経験があり、若干ギャンブルにも似たリターンを望むのであればベンチャーキャピタル的な投資を行ってみるのが良いのではないでしょうか。
大事なことは、自分で考え、投資しようと思っている企業の価値は何か?を明確にすることだと思います。
皆さんのスタイルはいかがでしょうか。この機会に、自分のタイプは何かをじっくりと考えてみましょう。きっと良い結果が期待できます。