「配当」と「株主優待」について考えてみます。
個人投資家は、基本的にこの二つが大好きです。
しかしながら、それははたして合理的なのでしょうか?
まずは株主優待について考えてみましょう。
単純に株主優待をもらって喜ぶのではなく、その原資はどこから来ているか?というところを考えてみましょう。
まず、株主優待の原資はもともと株主が受け取るはずの利益であるということです。ですから、株主としては、株主優待として物などをどっさりもらうよりもその分を現金で払い戻してもらった方が本当はハッピーなのではないでしょうか?
ちなみに株主資本主義国のアメリカでは、基本的に物品や金券を株主に配る株主優待制度というものはありません。 株主優待をもらうということと同じように、配当が高いということも手放しでは喜べないことです。
なぜならそれは、その企業が今後、成長しないかもしれないということを意味しているからです。
いったいどういうことでしょうか?企業が配当をするのは、自分が株主のお金を預かり続けて事業投資に回すよりも、株主に還元したほうが、株主のためになると考えているからです。
もちろん、短期的な視点にたった株主にとっては配当や株主優待はうれしい贈り物かもしれません。
ただやはり、投資というものは、本来、長期的視野にたって、価値を創造しつづける企業に投資することだと思います。
では、企業の配当の妥当性を見るにはどうすればいいのでしょう?
それは、その企業の資本の効率性をあらわす ROE と、企業が生み出した利益のうち配当に回す割合を示す配当性向のバランスを見ればいいのです。
ちなみに
ROE = 利益 ÷ 株主資本、
配当性向 = 配当 ÷ 利益の式で表されます。
企業は、自社の ROE (資本効率)が高ければ、配当はしないで事業にお金を回したほうが株主のためになるし、逆に ROE が低いのであれば、配当して株主に還元したほうがいいということになります。
そうなると問題となるパターンが二種類あります。
ひとつは、 ROE が低いにも関わらず配当性向が低いケースです。
これは、資本効率の悪い企業が内部にお金を溜め込んでしまっている企業の場合で、このような企業はその眠っている資金を狙った買収にあう可能性もあります。
もうひとつは、 ROE が高いにも関わらず配当性向が高いケースです。こちらは、ビジネスモデルや戦略にもよると思いますが、一般的には株主に還元するよりももっと事業に投資をしてさらに稼ぐほうが長期的には株主にとって喜ばしいのです。
普段、私たちは単に業績のよい企業に投資すればいいのだと勘違いしてしまいがちですが、本当によい企業とは、事業戦略と資本政策をうまく組み合わせている企業なのです。
ですから、「配当を出せ!出すな!」というのではなく、お互いの理解を深めてゆくことが、企業にとっても株主にとってもメリットのあることなのではないでしょうか。