粉飾決算がブームになると見ています。
これは、いよいよ本格的に資本市場が浸透してくると、まじめに事業をやるよりも、利益をかさ上げし、株価を吊り上げたほうがすばやくお金を稼げるからです。つまり、今の日本では、市場の浸透に知識の浸透が追いついてないということですね。
では、個人投資家が、粉飾などを未然に防ぐにはどうすればいいのでしょうか? 一番よいのは、キッチリと財務を学ぶことです。急がば回れと言います。これからの日本人にとって、投資はどうせ一生やること。だったら、今のうちにしっかり本質を学んでおいたほうがいいでしょう。興味がある方は、本コラムの最後をご覧ください。
そうはいっても、今すぐ粉飾企業にひっかからないための有効な方法を紹介しましょう。それは、利益ではなく、キャッシュの動き(キャッシュフロー)を見ることです。両者の違いは何でしょう?なぜ、利益とキャッシュがあるのでしょう?
それは、キャッシュ(現金)のフロー(流れ)だけでは、本当に企業が成果を上げているのかが分かりづらいからです。単純化して考えてみましょう。
ある会社がビルを100億円で建て、その年に売上げを20億円稼いだとします。お金の動きだけを見たら80億円のマイナスです。しかし仮にビルは10年間使えるものだとします。すると1年分の費用は、10分の1の10億円といえます。(100億円÷10年間=1年間の費用分の10億円)そうなると、この年の「成果」は、売上20億円から費用の10億円を引いた10億円ということになります。成果(利益)で見るとプラス10億円ということです。でも、お金、つまりキャッシュフローで見たらマイナス80億円です。
問題はどちらが正しいか?ではありません。「いくら成果を上げたか?」を判断する場合は利益を見ればいいし、「いくら(お金を)稼いだか?」はキャッシュフローを見れば良いということ。
ここでのポイントは、成果(利益)は会計という「ルールに基づいた評価」であるのに対し、キャッシュフローは「事実」だということです。
粉飾決算は、この会計というルールを曲げて、利益をかさ上げすることです。利益は「前提」によって変わります。
たとえば先ほどの例では、「ビルが10年使える」ということを「前提」として利益を算定しています。しかし、たとえば、ビルが10年ではなく、20年使えると言ってしまうと、最初の年の利益は、15億円(売上げ20億円 マイナス ビル代5億円〈100億円の20分の1〉)となります。一気に、利益が10億から15億に上がりました。すると、これを受けて株価も上がるでしょう。利益とは危ういものです。
このような状況に惑わされないように、キャッシュフローを見るのです。
ただここで注意です。キャッシュフローを見るときには、一年だけで見ないで最低でも5年の推移を追うようにしましょう。そうすることによって、会社の動きが手に取るように見えてきます。
損益計算書(P/L)がわかると、「過去」がわかり、
貸借対照表(B/S)が読めると、「今」がわかる
キャッシュフローが読めると、「意思」がみえ、
ビジネスモデルがわかると、「将来」が予測できる
と言います。