無借金経営の企業は良い企業? | 投資情報サイト シェアーズ

株式投資コラム

無借金経営の企業は良い企業?

「無借金経営」と聞いてどんなことをイメージしますか?

たいていは、健全・堅実といった「良い」イメージをお持ちだと思います。たしかに、借金がなければ利息の支払いというコストを支払う必要がありません。それに気持ち的にも楽です。しかし、真実は逆なのです。借金がないということは、逆にいえば、コストの高い経営を行っているということなのです。

いったいどういうことでしょうか?

借金には利子というコストがかかりますが、株式にもコストがかかるのです。

お金にはコストがかかる

株式のコストは、企業の儲けの中からその一部を株主に還元する「配当」「自社株買い」などがあります。では、借金の金利と、株主への還元とどちらが、コストが高いのでしょうか?

正解は、株主への還元です。なぜかというと、企業のオーナーである株主は、その企業が得た一番最後の利益(純利益)を受け取る立場にあり、他のステイクホルダーと比べて、リスク(振れ幅)が高いからです(そのかわり、その企業の経営が上手く行っていない時に、株主総会などで経営の提案をすることが出来ます)。つまり、株主はリスクをとっている、ということです。

つまり、 株主からの調達コスト > 銀行からの調達コスト ということになります。

そう考えると、「無借金経営」ということは、企業のもつ資産が、コストの高い株式によってまかなわれていることになります。経営コスト全体が高いということになるわけで、必ずしも無借金はいいということにはならないのです。

それでは具体的にみてみましょう。

まず、企業の調達コストの計算方法を思い出しましょう。株主のコストと銀行からのコストを加重平均するやり方です。WACC(ワック)、加重平均調達コストのことですね。たとえば、借入れで 100 億、株主から 100 億調達してきて、それぞれのコストが、借入れ金利 1 %、株主コスト 6 %とすると、両者を平均すると、ワックは 3.5 %となります(税金は無視しています)。
ワック 3.5 %=( 100 億円× 1 %)÷ 200 億円 + ( 100 億円× 6 %)÷200 億円

上記は株主からのコストを 6 %とし、銀行からのコストを 1 %としています。もし、この企業が借り入れでなく、200 億円を株主からの調達だけに頼っていたら、どうなるでしょうか?下記に計算してみます。
ワック 6 % = 借金ゼロ ÷  200 億 +  200 億× 6 % ÷  200億

借金はゼロですので、ワックは株主資本のコストだけの 6 %になってしまいます。

このように考えると、株主からだけ調達して、工場を建てたり、店舗を建てたりするよりは、借金も一緒に行って事業投資する方が合理的です。一概に「借金は悪いもの」とはいえないのです。実は、企業経営者から調達コストを下げる役割をしてくれる良い面もあるのです。その結果、企業価値が高まり、われわれ株主にとっても良い話なのです。

なぜ、無借金経営の企業があるのか?

ここで素朴な疑問が湧きます。なぜ、無借金経営の企業があるのでしょうか?

たとえば、個人投資家に人気の「任天堂」などは無借金です。それには様々な理由があります。例えば、その企業がまだ若すぎて銀行からの信頼を得ることが出来なかったり、過去に一度債務超過を犯してしまい、倒産の危機に瀕した経験から「借金は怖い」というトラウマ的経験から借金を行わなかったり、といった理由です。

しかし、企業は原価や固定費の削減だけでなく、金融コストも下げなければ、いずれ世界と伍してゆくことはできなくなってしまいます。その意味で、世界で戦ってゆこうとする企業には、借金も含め、資本コストを下げてゆく努力もお願いしたいものです。またそういう会社に投資することが、良い投資結果を生むことになるでしょう。

関連記事・情報
アナリスト注目銘柄を見る
  • ケンコーコム (12/05/17 17:06) 【M&A】楽天と資本業務提携することが発表された当社。...
  • ビックカメラ (12/05/11 16:46) 【M&A】コジマ買収が決まった当社についてエントリー書...
  • コジマ (12/05/11 16:45) 【M&A】ビックカメラの傘下に入ることとなった当社につ...
  • ユナイテッドアローズ (12/05/10 15:38) 【2012年3月期本決算更新】各種チャネル、既存店とも...
  • ディー・エヌ・エー (12/05/09 19:15) コンプガチャ廃止前、最後の決算を分析しました。「ガチャ...
最近、決算発表のあった企業を見る
Ads by Google
クリック証券
SBI証券
ページのトップへ