株の価値の計算方法 | 投資情報サイト シェアーズ

株式投資コラム

株の価値の計算方法

企業の価値(企業価値)は、その事業と財産の価値で成り立っています。そこから、借金を引くと株の価値(株主価値)を算出することができます。これを株価と比較すると割高・割安が瞬時にわかります。

株を買うとき、その価値がわかっているのとそうでないのとでは、“安心感"がまったく変わってきます。そこで今回は、皆さんに株の価値をどうやって算定するのか、その具体的な方法を紹介します。簡単なやり方ですので、慣れれば5分でできるようになると思います。そして、一生役に立ちます! 皆さんも手を動かしてみてくださいね。

まず、計算に必要な情報は「有価証券報告書(以下、有報)」と「その日の株価」だけ。 有報はEDINETにて、無料で入手する事が出来ます。

「株の価値=事業の価値+財産の価値−借金」

事業の価値とは、ビジネスで、会社が将来どれくらいのお金を稼ぐかを予測して算出します。財産の価値とは、会社が保有する現金や有価証券、土地などのビジネスに関係ない資産です。借金とは有利子負債のことです。

それぞれの具体的な算出式は、以下の通りです。
事業の価値=営業利益 × 10倍
財産の価値=流動資産 −(流動負債 × 1.2倍)+ 投資その他の資産
借金 =有利子負債

では、この算出式を使って、実際の企業の株の価値を算定してみましょう。

今回はエイジス(JASDAQ:4659)という、ホームセンターなどの棚卸しを専門に請け負っている企業を用います。
有報を見ると、エイジスの2006年3月期の数字は、以下の通りです。
営業利益1482百万
流動資産4333百万
流動負債2042百万
投資その他の資産550百万
有利子負債0

これを算定式にはめ込むと、
事業の価値=営業利益1,482百万 × 10倍 = 14,820百万
財産の価値=流動資産4,333百万 −(流動負債2,042百万 × 1.2)
+投資等550百万 = 2,432百万
借金=有利子負債0

となり、エイジスの株の価値は 14,820百万 + 2,432百万 − 0 = 17,252百万 となります。

これに対して、エイジスの時価総額は14,164百万円ですので、18%ほど割安であるといえます。

このように企業の価値をざっくりと算出する事で、割安株投資をする際の目安となるでしょう。この方法に慣れてきましたら、キャッシュフローなどさらに詳細な算出方法を学んでいくともっと安心して投資できるようになります。

以下は、この計算式の根拠です。

(1)事業の価値は、なぜ営業利益の10倍なのか?

まずは事業の価値からいきましょう。なぜ、営業利益の10倍が、事業の価値になるのでしょう?
事業の価値とは、「企業が本業でどれぐらい稼ぐ能力があるか?」ということです。本業が稼ぐ能力を見るには、営業利益を見る必要があります。

しかし営業利益は税金を引く前の利益です。ここから、日本の税率である40%を引いて出てくるのが「事業の利益」です。

さて、この事業の利益から、価値を求めるにはというと、価値を求める式は、以下の通りです(なぜ期待利回りで割るのか、に関しては学ぶ①をご覧ください)。

価値=利益/期待利回り(%)

期待利回りとは市場参加者みんなが妥当と思う利回りです。株式市場の平均期待利回りは5〜9%といわれています。ここでは期待利回りを6%と仮定します。(保守的に算出したい場合は9%と仮定するとよいでしょう)

さて、これを計算式で表わしますと以下のようになります。

事業の価値=営業利益×0.6(税率40%を控除)÷0.06(期待利回り)

この式を少し変えると、以下のとおり。

事業の価値=営業利益×10

よって営業利益を10倍したものが事業の価値となるわけです。

(2)なぜ流動負債の1.2倍を流動資産から引くと財産価値なのか?

さて次に、財産の価値について見ていきましょう。財産の価値の計算式を以下に再掲します。

財産の価値=流動資産−(流動負債×1.2倍)+投資その他の資産

財産とは事業に必要のない、企業という蔵に貯め込まれている余剰の資産のことです。

財産は流動資産と固定資産の中にそれぞれ貯め込まれている場合があります。

流動資産とは、換金性が高い資産のことで、1年以内に換金されるもののことです。流動負債とは1年以内に出ていく負債のことです。手持ちの資産から出ていく負債を引いた分は余剰な資金であり、財産と見なします。

さて、ここで素朴な疑問です。なぜ、なぜ流動負債の1.2倍を流動資産から引くのでしょうか? 実は、上場企業の流動比率、つまり流動負債に対する流動資産の倍率は平均で約1.2倍です。ですから、ここでは、流動負債を1.2倍したものを流動資産から差し引き、残った部分が余剰な現金、つまり財産であると考えているのです。

次に、固定資産とは1年以内には換金されない資産のことです。固定資産の中にある「投資その他の資産」とは、定期預金や他社の株式などです。これらの投資は余剰資金で行われることがほとんどですので、財産とみなしてよいでしょう。

さていかがでしたでしょうか。ちょっと難しかったですか。

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最初は、ここに紹介した公式を使って多くの企業を分析してみてください。慣れてきましたら、「期待利回りの値」を変えたり、企業の業界や業態にあわせて流動比率を変えたりしてみるとよいでしょう。

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