ビジネスモデル分析 | 投資情報サイト シェアーズ

株式投資コラム

ビジネスモデル分析

事業価値については、利益の成長が大きな鍵を握っています。『成長』の本質について考えてみましょう。

成長の促進剤

私たちは、企業の成長の促進剤を以下の2つであると理解しています。

1.需要

市場が伸びていることによって、企業が成長している状況です。現在であれば、健康業界(健康食品・フィットネス)、中国市場向けビジネス(繊維・化粧品)などでしょうか? パイの増加が、単純にその業界にいる企業の成長を牽引するというのはわかりやすいロジックだと思いますし、投資判断においても、ある程度の確信をもって成長を肯定できるでしょう。

2.構造(ビジネスモデル)

次に、市場の伸びでなく構造上の優位性が高い成長の持続を可能にしている場合もあります。先の需要が「パイ全体」の増加に当たるものとして、この構造というものは、「パイの切り方」すなわち自社にとって有利にナイフを入れられるか、ということになります。この"儲かる構造"を見抜くことができれば、成長株投資で本当の成功を勝ち得ることができるのではないでしょうか?

成長をもたらす構造(ビジネスモデル)は、「高い利益率を確保できるモデル」とそれを「どこまで横展開できるのか」という可能性の2つの要因の掛け算にあると思っています。

高い利益率を確保できるモデル

高い利益率の源泉は、2つです。

1.誰もできないことをやる

バフェットは、「有料ブリッジ(橋)を持つ企業へ投資せよ」といいます。黙っていてもお金がちゃりんちゃりんと入ってくる規制産業(例えばテレビ局)は儲かります。それから、特許を含む高度な知的資産をベースとして高い利益率を維持する会社(製薬、コカコーラ、コンサルティング会社)も高い利益率を維持します。誰もやりたがらないことをやる会社も高い利益率を確保します。具体的には、タバコ・酒・産業廃棄物処理・パチンコなどの社会必要悪企業です。パチスロのサミーが良い例かもしれません。サミーのROEは、なんと30%~50%もあります。

2.誰よりも効率的にやる

誰よりも効率的にやろうとする会社は、噛み砕いて言うと、「多くのことをうまくやる会社」です。

これにもパターンが二つあり、一つは「長いバリューチェーン"をうまく"つなげている会社」です。

具体的には、SPA(製造小売)などがこれにあたります。ユニクロの営業利益率は、14%であり、繊維業界の標準を大きく超えています(アパレル5~8%程度、繊維製造業 2~3%、問屋・商社1~2%)。

もう一つは、「多くのことを自分以外の人を使ってうまくやる会社」です。ネットワークビジネスやフランチャイズビジネスがこれにあたります。セブンイレブンやバリュー投資家御用達の明光ネットワークは、これにあたるでしょう。

同業と比べて利益率(ROEや営業利益率)が高い企業を見つけたらチャンスです。その会社がどちらのパターンで、利益率を高めているのかを確認し、それが理解できたら次のステップに入ります。すなわち、その高い利益率を維持しながら、横展開を行い、売上を伸ばせるだろうか?という疑問を考えることです。

どこまで横展開できるのか

企業が横展開する方向は、大きく以下の二つです。

1.同じ顧客に違う商品を売り込む

例えば、アスクルが文具以外のものを中小企業に売る、楽天やカカクコムが商材・コンテンツを充実させる 等がこれにあたります。この場合は、顧客のロイヤリティ(忠誠心)の高さがポイントになります。

2.違う顧客に同じ商品を売り込む

花王やジレットが、世界各国で同じトイレトリー商品を売る、コカコーラが世界中でコーラを売る、スーパーが出店地域を拡大する 等がこれにあたります。この場合は、商品展開の汎用性がポイントになります。

バフェットは、日常性の高い商品(かみそりやコーラやクレジットカード)を、最高に効率的に横展開(世界中)できる会社に投資をしました。彼の投資先は、「誰よりも効率的」に、「違う顧客に同じ商品を売り込む」ことのできる企業が多いのかもしれません。

企業文化の有無

それから、最後に、企業文化(企業のDNAともいう)が成長を促進するケースも多いと思います。このあたりについては、ビジョナリーカンパニー2を読んだ方が早いかもしれません。本書の描かれている"規律の文化"、"誰をバスに乗せるのか"、"第五水準の経営者"などは、持続する成長企業のカルチャーコンセプトを雄弁に物語っています。

ただ、残念ながら、成長を促進する文化をもつ企業を見抜き、リスクをとって投資をするし、高い利益を上げられるようになるまでには長い時間がかかります。むしろ、需要×構造の分析から持続的成長の可能な企業を見出し、株価が安くなるまでずっとモニタリングを続けることのほうが安全で確実かも知れません。

まとめ

いずれにしても成長を考える際のポイントは、以下の2点でしょう。

  1. 高い利益率を維持したままどこまで横展開を図ることが可能か、を見抜く
  2. 成長率そのものよりも、"どのくらいの期間"成長が"持続"するのかを見抜く

ビジネスモデル分析の良書

ビジネスモデルの分析を学びたい方に、関連するいくつかの良書を紹介します。

  • 「ビジョナリー・カンパニー2」
  • 「ザ・プロフィット」
  • 「戦略論の原点 ハーバード・ビジネス・レビュー」

「ビジョナリー・カンパニー2」は、いわずとしれた良書で、永続する良い企業を徹底的に調べつくした本で、文章も秀逸。読み物としても面白いと思います。サイバーエージェントの藤田社長がこの本を読んで、起業の決意を新たにしたのも有名な話です。

「ザ・プロフィット」は、米国の著名なコンサルタントが書いたベストセラーで、利益を生むだすビジネスモデルのパターンについて物語形式で書いてあります。フィッシャーのような成長株投資家をめざすなら是非、読んでおきたい一冊です。文中で紹介されている本も、名著ばかりである。もちろんバフェットも登場します。

2007年2月のハーバード・ビジネス・レビューは、戦略論の原点が特集。面白いのは、P28の「バークシャハサウェイ レベル10企業をめざす」の項。株主価値創造の10原則を述べていて秀逸です。

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